フリースクール 木のねっこ

フリースクール 木のねっこ

近年日本では学校に通うことのできない子どもたちが増え、そういった子どもたちの受け皿としてのフリースクールが各地に誕生し、フリースクール全国ネットワークという組織もできています。

また2016年からは不登校の子どもたちに学校外での多様な学びの場を提供することを目的とした教育機会確保法も施行され、子どもたちを取り巻く環境は大きく変わろうとしています。

教育機会確保法

義務教育とは、すべての子どもたちは教育を受ける権利があるという意味であり、多様化する社会情勢や子どもたちの変化に対応しきれていない現状の学校教育制度は年々学校に通うことのできない子どもたちを増やしていて、その子どもたちにも教育の機会を提供していかなければなりません。

そのひとつがフリースクールという学びの場ですが、学校に通うことのできない子どもでフリースクールに通っているのは全体の1~2%、ほとんどの子どもたちが引きこもりという形になっています。

これは日本の将来にとって極めて大きな問題であり、早急に解決していくことが求められます。

 

2012年、今から十年前に開設されたフリースクール 木のねっこは広島県廿日市市の山の麓、豊かな自然環境に恵まれたところにあり、生徒や親御さんたちとみんなで改築されたという古い元民家で営まれています。
<広島のフリースクール木のねっこ>

フリースクール 木のねっこ

広い敷地には畑があり、山羊も二頭飼われていて、声をかけると可愛くメェ~と応えてくれました。

フリースクール 木のねっこ 山羊

NPO法人である木のねっこは現在小中学生19名の子どもたちが通っていて、我が子も不登校児童だったと言われる横山はるみさんが代表として運営されています。

フリースクール 木のねっこ 横山はるみ

木のねっこへの通い方は、平日は毎日通ってくる平日生、スタッフに近い存在のスタッフ生、一日だけ単発で来る子ども、また遊びに来る子もいたりと様々です。
そしてその通い方は一ヶ月ごとに子どもと相談して決定します。

「ここは民間運営の団体なので子どもたちは来ても来なくてもいい。本当はこういった仕事は行政が担うべきだ」という横山さんの言葉通り、強制力のない自由な空気感にあふれています。

 

木のねっこでは特に子どもからの要望がない限り教科指導はせず、自分たちから学んでいこうという姿勢を大切にしています。
自分たちで火を起こし、薪を割ってご飯を炊き、畑で野菜を育て山羊を飼い、Do It Yourself 、すべて自ら行動するということが基本です。

子どもたちの行動は一人一人に個性があり、それを尊重し、
・集団より個人が大事
・自分を大切にする
・イヤなことはイヤとハッキリと言う
こういったポリシーを貫いています。

取材をした日は子どもたちみんなで宮島のゲストハウスへお仕事体験として掃除をし、戻ってきた後はスマホを通してインスタライブをしていました。

フリースクール 木のねっこ

「人生において大切なことは自ら掘り起こしていくこと。
自ら選択し、それに責任を持つこと。
正義と悪で物事を割り切って考えてはいけない」

横山さんはこういった考えのもと、自ら物事を調べ、考えるための「探査」ということを重視しておられます。
探査とは与えられた情報を鵜呑みにするのではなく、何が問題かを自らが考え、調べ、判断していくことで、最近では保護犬業界、食品ロスといった社会問題を子どもたち自身で探査しレポートしています。

フリースクール 木のねっこ 探査

木のねっこでの生活を終えた子どもの大半は高校へ進むとのことで、それに際しての基本的な学習指導も行っています。

日本の子どもの幸福度は調査38カ国中37位、近年子どもたちの自殺は増加傾向で、またコロナ禍が始まってからマスク強制、黙食、三密回避など子どもの自由な発達を育む環境はますます悪くなっています。

「これからは常に後手後手になる行政に頼ることなく、地域で子どもたちを育む社会を作っていかなければならない」
この横山さんの言葉は重く響きます。

そういった社会が実現するよう、大人たちが努力するとともにフリースクールの役割はますます重要となっていくと考えられます。