人生の最期から見えてくる日本の現状

人生の最期から見えてくる日本の現状

2022年4月23日、葬祭業(株)玉屋の児玉賢司社長をお迎えして、「人生の最期から見えてくる日本の現状」という演題で、コロナ禍の於ける日本の葬儀の現状を語っていただきました。
ここにその講演の概要をご紹介いたします。

人生の最期から見えてくる日本の現状

(株)玉屋 児玉賢司社長
昭和6年総業、91周年、三代目社長

個人的意見として、短期間で作られたコロナワクチン接種には慎重にならざるえない。

国立病院機構 仙台医療センター ウイルスセンター長 西村秀一
経営者向け新聞よりコロナ対策についての提言

1.人のいない戸外などでのマスク着用をやめる
2.店内のビニールカーテン、アクリル板の除去
3.黙食を強要しない
4.バイキング料理での手袋強要をやめる
5.店の入り口での客の手のアルコール消毒をやめる
6.飲食店のテーブルやメニューのアルコール消毒をやめる

今何をするべきかだ。
同じことを続けていても1mmも良くならない。
社会生活を回復させるために、一人一人に思考停止状態からの覚醒と、誤りを改める勇気がほしい。

日本は長寿国であるが、毎年約60万人、地方の小都市がひとつ消えるほどの速度で人口が減り続けています。
抜本的対策が必要です。

広島市内、近郊は葬儀業者は三十数社、自社でデルタ株で亡くなられた方は平成2年12月から21名、オミクロン株は31名、オミクロン株は感染者数自体が多い。
そして大半はワクチン接種者で高齢者、そして基礎疾患を持たれている方です。

火葬場が不足しています。
火葬はできても、希望時間に火葬してもらいにくくなっている。
地域格差があり、東京では亡くなられてから火葬まで一週間ぐらいかかるのはざらにあり、ご遺体安置ホテルが大繁盛しています。
地方では人口減少に伴って火葬場が閉鎖されています。

広島は人口120万人で火葬場は四か所あり、今のところはまかなえている。
火葬場の増設、新設は地域の同意が必要で現状では難しい。
東京では東京港に火葬船を浮かべるという計画があった。
東京では出生地に帰って火葬をすすめることがあるが、遺体を移動させるには高額の費用がかかる。
寝台車の移動は1キロ400~500円、広島・東京間は900キロ以上あり、45万円ほどかかる。
飛行機では貨物扱いになり、家族の同乗等条件があり、10万円程度だがなかなか難しい問題もあります。

コロナになって家族葬ですます割合が増え、コロナ以前は平均4、50名の参列者があったのが、今は十名ちょっとにまで激減した。
場合によっては二三名ということも結構ある。
緊急事態宣言の時は、遠方にいる一親等の親、子ども、配偶者が参列できないことがあり、創業以来90年やってきて異例の事態である。

高齢化社会になり、一般に死に対する恐怖感がなくなった。
近隣、地域とのつながりが薄くなった。
喪主の高齢化、これらが家族葬が増えた大きな要因。

経済的負担を心配される方もいるが、玉屋で10名程度の家族葬をあげた場合、40~60万円程度がほとんどです。

家族葬のメリットは、参列者が少ないので気を使わないし費用が安いこと。
デメリットは、葬儀後も知り合いの弔問が多く、それに手を取られる。

直葬は、東京では3~4割、広島でも1~2割ある。
直葬は遺体が直接火葬場に行き葬儀はしない。
火葬場でお坊さんに読経してもらう場合もあるが、ほとんどの寺で葬儀場のみでの読経は断っている。

コロナ禍で葬儀参列者が少なくなり、ご遺体、読経とは別室で参列したり、オンライン葬儀、ドライブスルー葬儀なども現われてきました。
会食はなく弁当持ち帰り、会食なしの場合も。

コロナで亡くなられた場合、完全防護服の看護師さんが三重構造の非透過性の納体袋にご遺体を入れ、霊安室に運び入れたお棺にご遺体を収め、通常は24時間以内は火葬できないところを、コロナの場合は直接火葬することができます。

広島市の火葬場は受け入れが午前9時半から午後3時半まで、広島市は一か所コロナ専用の火葬場が指定され、そこ以外は行けません。
お棺は空気が漏れないようテープで目張りされている。
当初はコロナで使った寝台車は消毒後一週間は使用できなかったが、今はその規定はなくなった。

コロナの葬儀は地方によって違います。
東京の場合、感染症対策をしていれば、お通夜も葬儀も参列者が集まって行っても大丈夫。

広島市の場合は、コロナで亡くなったら葬儀をしてはいけないことになっていて、火葬場直送の直葬になります。
これまで行った五十数件の中で、二件だけはお骨になった状態でお寺での葬儀をあげました。
火葬場でも家族は場内に入ることができず、お骨も家族は拾えません。
お骨は火葬場の職員が拾い、家族はそれを火葬場の駐車場や自宅で待ち、葬儀社の方が遺骨を手渡します。
その時、たいていの場合家族は濃厚接触者となり、葬儀社の社員は直接接触することができず、自宅に遺骨を運ぶ場合も電話連絡をして家の玄関の前にテーブルを出していただき、そこに遺骨を置き、その後家族が受け取るといった形を取ります。

コロナで長期入院し、その間ほとんど面会できず、病院によっては亡くなってから霊安室でお顔を見ることができる場合もありますが、霊柩車に同乗することも火葬場に入ることもできず、お骨になってからようやく家族の元に戻られるということもあります。

亡くなった人は葬儀をし火葬をするという順序を経て亡くなられた方の死を周りの人たちが現実として受け止めていかれますが、コロナ死の場合はそれがありません。
家族の方は、亡くなられた方に対して申し訳ないという気持ちを持たれている場合が多い。

直葬を扱っている葬儀社は広島市三十数社の内の約半数。
費用は10~15万円ぐらいで玉屋は111,000円。
けれどコロナ死の場合は霊柩車を毎回消毒する必要があり、納体袋も通常より高額で、コロナ死の直葬は25~30万円ほどかかります。

コロナ死では葬儀ができない、火葬に立ち会えない、収骨に立ち会えない。
この三つの「ない」をどう克服するかが遺族の課題で、その後も悲しみをずっと抱えたまま長い期間過ごされる方もおられます。
また家族がコロナで亡くなったことは近所にも言いにくく、家族が負い目を負っているように感じられます。

玉屋 児玉賢司社長

高齢化、核家族化で高齢者の孤独死が増えている。
入浴中に浴槽内で亡くなられた方は、三四日後に発見された時には体重55キロが110キロになっていた。
同じ屋根の下に暮らしていても、死後一日以上経ってから発見されることもあります。
孤独死という言葉は悪い響きがあるが、実際は自宅で一人で亡くなったということです。

孤独死で発見が遅れると遺体の腐敗が進み、ウジが湧き、畳には血痕が広がり、強烈な異臭で大変な状態になります。
腐敗で顔が変わっている場合、最期にそれを見たことを後悔されるご家族もおられます。
そうならないように早期発見してあげることが大切で、それが亡くなられた方の尊厳を守ることになります。

親族のつながりが薄れ、三回忌、七回忌法要まではするが、十三回忌法要はほとんどなくなった。
高齢になると、法事以外で親族が集まる機会はほとんどありません。

年間1000~1100件の葬儀をして、身内の方がいても火葬場で遺骨を受け取られない方が一件はおられます。

最期の旅お顔はとても大切です。
生きている間の化粧と亡くなられてからの化粧は異なります。
亡くなると顔の皮膚の脂肪分がなくなり収縮し、専用の化粧品と化粧する方がおられます。
孤独死の場合は、お顔をお見せできないことが多い。

孤独死で部屋に異臭が染み込んだ時は、部屋の畳、壁紙をすべて取り換える特殊清掃が必要です。
自殺の場合は、三年間はそのことを借り主に告知する必要があります。

普段からの近所付き合い、町内会、親族との関係、無人監視システムの導入等が大切。

散骨、樹木葬、生前葬、オリジナル葬等新たな流れがあります。
散骨の許可は自治体によって様々で、広島市は許可がいりません。
ただし細かく砕く必要があり、海へは水溶性の紙に包み、人の迷惑にならないところに撒きます。
広島の散骨第一号は横山やすしさんで、ボートが好きだったので宮島に撒かれました。

生前葬は今後増えてくるものと思われ、日本の生前葬第一号は77歳の時にされた水の江瀧子さんとされています。
生前葬は感謝の集いといった形で行われることもあり、第一部は祭壇を用意し、写真を飾ってみなさんに感謝の言葉を述べ、その後の二部は飲食を伴った楽しいパーティーというスタイルです。

オリジナル葬は、祭壇に飾る花も音楽も自ら選び行います。
花はトゲのあるバラ、毒やあるものや匂いのきついものも適しません。

ピンクの霊柩車もあるが利用されたことはありません。

生前にお棺に入る体験をすると特別な感情が湧いてきて、翌日金縛りになりました。

人間が亡くなるのは二度あり、死んだ時と、周りの人たちの記憶から消えた時です。

カープのお棺、各球団のお棺もあります。

お棺にご遺体なし、ご遺体間違い、いたずら電話、焼香間違い、葬儀代の未払い、遺骨の宅配、
様々なトラブルがあります。

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